【セミナーレポート】サントリー デジタルマーケティング×山本ゆり氏と考える料理インフルエンサーを起用した最新SNSプロモーション法
「マリトッツォ」「折りたたみキンパ」…。ここ数年、TwitterやInstagram、ブログなどSNSで話題の料理トレンドが次々と誕生しています。
その流行の発信源となっているのが、フーディストサービスに参加する料理インフルエンサー(フーディスト(R))たち。生活者の視点から生まれる、時代にフィットした等身大の料理レシピは、投稿と同時に瞬く間に拡散され多くのファンを熱狂させています。
今回は、2022年1月18日に開催されたオンラインセミナーより、サントリーでデジタルマーケティングを担当する前田氏、料理コラムニストとして活躍する山本ゆり氏を迎え、プロモーションの側面から料理インフルエンサーを起用したSNS施策についてご紹介します。
【講演者】
サントリー酒類株式会社 EC営業本部
サントリーホールディングス株式会社 デジタルマーケティング部 担当部長
前田 真志 氏
新卒入社後、営業職として名古屋支社に配属。その後、営業推進部、宣伝部・デジタルマーケティング部で営業推進・デジタルマーケティングに従事。現在に至る。
料理コラムニスト
山本 ゆり 氏
1986年、大阪府生まれ&在住。3児の母。料理本『syunkonカフェごはん』(宝島社刊)シリーズは累計700万部を超えるベストセラーに。ブログは月間600万アクセス、Twitterは100万フォロワーにのぼり、身近な材料で簡単にできる料理と、ユーモアあふれる日常を綴ったSNSが大人気。「フーディストアワード2019・2020」総合グランプリ受賞。
【モデレーター】
アイランド株式会社 セールスDiv マネージャー
永島 哲
約3万名の料理インフルエンサーをサポートする「フーディストサービス」が行うSNSプロモーションとは
アイランド株式会社では、約1万7,000名の料理ブロガーと約1万2,000名の料理インスタグラマーをはじめ、TwitterやYouTubeなどのSNSで発信する料理インフルエンサー(フーディスト)約3万名をネットワークするフーディストサービス事業を展開しています。あわせて、日本最大級の料理ブログポータルサイト『レシピブログ』やインスタグラマーコミュニティ『Foodie Table(フーディーテーブル)』、料理Twitterメディア『スグレピ』などの場を通じて、料理インフルエンサーの活動を支援しています。
こうした料理インフルエンサーと企業をつなぎ、その商品や商品を使ったレシピの魅力を存分に伝えるべく、コンテンツ設計や発信方法を提案しています。
フーディストサービスがプロモーション活動を手掛ける際、心がけているのは次の3つです。
1.最適なプラットフォームの選定
各企業やメーカーの商材・与件によって、ブログ、Instagram、Twitter、YouTubeなど最適なSNSをご提案します。
2.得意な料理・分野に応じたインフルエンサーを提案
時短料理、おつまみなど、料理インフルエンサーの方々の得意分野やファン層をもとに、商材や要望にマッチする方をアサインします。
3.インフルエンサーのアクションプランを策定
短期的な投稿のみならず、中長期的なアンバサダー活動や、サンプリングによるUGC獲得など最適なプランを企画します。
今回のセミナーでは、10年以上にわたって多様な料理インフルエンサーとのコラボレーションを行ってきたサントリー様との取り組みをご紹介します。
ファンになっていただくために、商品やブランドの背景まで伝える
──料理インフルエンサーとのコラボレーション企画を社内で提案するプロセスや、企画にどのようなことを期待しているのかお教えいただけますか?
前田氏 私が担当している酒類は、基本的に料理と一緒に楽しむことの多い商材です。昨今のコロナ禍を踏まえ、各ブランド担当者からは家庭の食卓で楽しんでもらうシーンを訴求したいというオーダーが増えていました。そういうときに真っ先に頭に浮かぶのが、アイランドさんです。ユーザーが日々の暮らしの中で酒類を楽しんでいただけるような企画を考えてくださるところが大きな魅力です。
──料理インフルエンサーとコラボレーションするとき、メーカーとしてどのようなことを心がけていらっしゃいますか?
前田氏 今回、フーディストさんでは山本ゆりさんとコラボさせていただきましたが、どのクリエイターとお仕事させていただくときも、まずは商品のファンになっていただくことを大切にしています。
それに加えて、サントリーという会社のことも好きになってもらえるよう、近い距離感でコミュニケーションを取るようにしています。コロナ前は、例えば当社のビール工場を見学していただいたり、「天然水の森」の取り組みについてお伝えしたりもしていました。
──ファンになっていただくために、商品やブランドの背景までお伝えしているんですか?
前田氏 ええ。その商品に込めた思いや開発背景、コンセプトについても丁寧にお伝えするようにしています。
というのも、商品をポンとお送りして「はい、レシピを考えてくださいね」というドライなやり取りでは、私たちの思いや、ブログやTwitterを通じて実現したいことがなかなか伝わらないんじゃないかと思うんです。
クリエイターであるフーディストの方々には、私たちがどういう狙いでこの商品を作ったのか、企画の目的について、熱意を持って伝えるよう心がけています。余暇やプライベートな時間に楽しんでいただくお酒ですので、インフルエンサーの方々にも楽しみながら企画に加わってほしいと思っています。
商品とメーカーを本気で好きになって、本音ですすめる
──ここからはサントリーさんの企画を一緒に取り組んでいただいている、料理コラムニストの山本ゆりさんをお迎えします。料理インフルエンサーとして、企業とのコラボレーションにどのようなことを求めていますか?
山本氏 私の場合、こうしていただけたら嬉しいなと思うのは2つあります。
1つは、まさに前田さんがおっしゃった通りで、その商品の知識やバックグラウンド、開発者の思いや、魅力を教えていただきたいということです。私はそもそも「自分がインフルエンサーである」という自覚がないんです。ただブロガーとしてやってきたという感覚に近い。本当に魅力のある商品があって、私自身がその商品を大好きになって、それを自分がすすめたいから、すすめている。あくまでも、そういう仕事をしているんです。「すすめたいから、すすめる」という部分を大切にしたいので、本心ですすめたくなるように、商品について色々教えていただきたいです。もう1つは、記事の書き方や内容はできる限り任せていただきたいということです。少しでも普段と違うような書き方、言わされてる感じがあると読者さんにはすぐ伝わりますし、正直に思ったことを伝えたいからこそ、商品も魅力に思ってもらえるのかなって。
──例えば、サントリーさんの「〈香る〉エール」の企画もそうだったんですか?
山本氏 そうですね。昨年の夏、「〈香る〉エールでサマーエール」という企画をやらせていただきました。そのときはエールビールとラガービールの製法の違いから、「〈香る〉エール」に対するサントリーさんのこだわり、どれだけ美味しいかをまずたっぷり教えていただきました。その教えていただいたことを、思わずブログで教えたくなっちゃうという感じでしたね。その気持ちをブログでそのまま伝えているという感覚です。
──企業とのコラボレーション企画についてはブログの投稿にも当然「PR」と記載していただいています。ユーザーさんやフォロワーさんの反応はいかがですか。
山本氏 私の読者さんの場合はPRと記載された投稿にも、「教えてくれてありがとう」と言っていただけるパターンも多いですね。これは私の個人的な考えなんですが、正直PRって別に悪いことじゃないと思うんです。もちろん、PRだとしっかり記事に明記してある前提ですが。本当にその商品を良いと思うから「良い」とおすすめしているだけなので、「実際に商品を使ってみて、企業から話を聞いて良いと思ったからすすめています」という状態。自分の感じたことを率直に伝えるからこそ、「そんな商品があるんだ、買ってみよう」と思ってもらえるのではないかと思います。
──一方で、サントリーの前田さんにお聞きしたいのですが、メーカーとして伝えたいことと、インフルエンサーのみなさんにお任せする部分についてどのようにバランスを取っていますか。
前田氏 メーカーの仕事はユーザーの課題解決と、ブランドの課題解決の両方を突き詰めることです。そのために、フーディストさんとパートナーシップを組もうと決めるところまでが私たちの仕事だと思っています。
その先にある、実際の料理やレシピについては、ゆりさんやアイランドさん(フーディストサービス)のご提案をほとんどそのまま採用させていただいています。そこはメーカーの役割と、クリエイターにお願いする範囲を、明確に線引きしています。もちろん企画の目的に沿っていることが前提ですし、企画主旨についてブログなどで触れていただければ尚嬉しいですが、インフルエンサーとそのファンの関係を大切にしたいと考えています。
フーディスト起用でAmazonの購入を促し、レコメンドを喚起。Amazonの売上が大きく伸長
──Amazonさんとの企画「ワインとおいしい料理でおうちバルを楽しもう」も、それに当てはまりますよね。
<「ワインとおいしい料理でおうちバルを楽しもう!」>
https://www.recipe-blog.jp/sp/r210304a
■実施概要:
毎月、サントリーが販売するワインを1つ選び、レシピブログのトップインフルエンサー総勢10名とコラボ。それぞれのSNSでワインと、それに合うレシピを紹介していただく。Amazonから指定のワインを購入したユーザーには、コラボしたトップインフルエンサーのシークレットレシピをダウンロードプレゼントした。
■実施機関:2021年3月~6月
──この企画の狙いを教えていただけますか?
前田氏 これまでも、フーディストさんとコラボしたときに、自然とAmazonさんや楽天さんで売り上げが上がることはありました。今回は最初からあえて企画のフローにAmazonさんでの購入を組み込むことで、どれぐらい反応があるのか見てみたいという実験的な試みでした。
このときは母の日のタイミングを狙ってワインに合うレシピを考えていただき、ワインと料理を楽しんでいただく企画でした。今回、山本ゆりさんとコラボしたのは、「ヴィッラサンディプロセッコ」というイタリアのワインでした。
──実際、反響はいかがでしたか?
前田氏 例年、母の日のワイン需要は高く、売れ筋商品なら通常の数倍以上の売り上げ実績があります。それが、2021年は5月4日にゆりさんがブログで取り上げてくださったことをきっかけに、Amazonの売り上げが大きく伸長しました。
山本ゆりさんブログ記事:ワイン好きの方!おうちバルを楽しもう*母の日にめっちゃお勧めのワインなど。
https://ameblo.jp/syunkon/entry-12672324533.html
最初の3日間ほどは、ゆりさんのブログそのものの爆発力や、キャンペーンページからの導線で売り上げが上がったと思うのですが、それ以降はAmazonさんのレコメンデーション機能(※)が働いたことによって、より大きな売り上げにつながったと分析しています。最終的には、掲載から数日で商品が欠品になってしまったほどでした。
(※)「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という欄で、優先的にレコメンデーションされる機能
──ゆりさんは、この取り組みでどのような点に気をつけましたか?
山本氏 まず本当にこのワインがとても美味しくて、ボトルやパッケージも綺麗だったんですよね。「絶対これ欲しいやん!」と思ったというのが大きくて。それを声を大にして言いたいところではあるのですが、やっぱりブログでPRを読んでいい商品だなと思ったとしても、お酒の成分や製法まではちょっと読み疲れてしまうかもしれないな、と思いました。いいものをいいと伝える部分と、それを読んでいて楽しくなる文章にすること、その両立に気をつけました。
前田氏 ゆりさんのブログには「サントリーさんから、こんなお洒落なワインが出てたんだ」とか、「さっきワイン届きました」とか本当にたくさんのコメントが集まっていて、純粋に嬉しかったですね。SNSの魅力はこうした反応が即座に上がってくるところです。企画担当者としては、モチベーションに繋がります。
優れたコンテンツメーカーがそろうフーディストサービス
──メーカーから見て料理インフルエンサーのみなさんにどのような魅力を感じていますか?
前田氏 まず優れたコンテンツメーカーであることですね。ことば選びも、写真も本当に素敵で。そういう部分に期待して、お仕事をお願いしています。
それから2つ目が、ゆりさんのようなトップインフルエンサーの方は、その方自身が強い媒体力を持っていらっしゃるということ。
そして3つ目は、読者さんとの絆が強いので、単純な認知(パーセプション)はもちろんのこと、そこから先の「実際に飲んでもらう」というコンバージョンのフェーズへ進められるところです。
マスメディアで商品について広く伝えて、ブロガーさんとの取り組みでより認知を広げる。そして「ゆりさんが言うなら私も買ってみよう」と購買意欲を喚起するというコミュニケーションの流れを生み出せるのは、アイランドさん(フーディストサービス)ならではだと思います。
──一方で、ゆりさん視点で料理インフルエンサーの良いところは?
山本氏 それぞれのインフルエンサーに特徴があり、自分流のやり方で読者さんと密に繋がっているところです。それぞれらしい商品紹介の仕方が、読者さんの気持ちを刺激するのではないかと思います。
──最後に、あらためてアイランドの良さについてそれぞれお伺いできますか。
前田氏 アイランドさんの魅力は、とにかくネットワークの広さ。ワイン、ビール、ウイスキーとカテゴリの違いや、ブランドの違いによってターゲットも少しずつ異なります。そのとき、それぞれの商品やブランドに合うインフルエンサーの方を幅広くご提案くださるところがアイランドさんの魅力です。
それから、初めてのインフルエンサーさんとお仕事をするときも、アイランドさんと非常に近い関係でいらっしゃるので安心してお願いすることができますね。各インフルエンサーさんの得意・不得意を把握しているので、この人にはどこまでお願いしていいのか、さじ加減もよくおわかりだなと感じています。
山本氏 まさに、私はブログを始めたころからほとんどアイランドさんにお仕事をいただいてます。
本当に私の希望からわがまままで最大限聞いてくださるし、ブログの雰囲気や読者さんの雰囲気も知ってくださっているので本当にやりやすいです。そして、手掛けた仕事は全部「受けてよかった」と思えます。企業さんとのコミュニケーションの場を開いてくださったり、企業さんと時には直接だったり密にやりとりさせていただける点も、とてもありがたいなと思います。
──本日は貴重なお話ありがとうございました。
—–
フーディストサービスでは、食品メーカー・家電メーカー・地方自治体など幅広いクライアント様に、フーディストをパートナーとしたプロモーションをご提案しています。今回の事例以外にも商品モニターサンプリング・コンテスト、アンバサダープログラム、オンライン・オフラインイベントなど様々なご提案が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
▼お問い合わせはこちらから
https://foodistnavi.jp/inquiry/